ケアする人のケア・サポートシステム研究

 

 

21世紀はケアの時代と言われています。それは、生産や競争という価値に代わって、他者との交流「ケア」のなかに、自らの生のリアリティを求める時代だと言えます。
 戦後の経済成長と近代化は、私たちの生活に物質的な豊かさと便利さをもたらしましたが、その一方で、他者の存在を必要としない生活スタイルによって、地域社会や学校、企業や家庭といった大小さまざまなコミュニティが崩壊してきました。人間と人間とのつながりが希薄になった現代社会のなかで、孤立感を抱えて生きている人が増えています。このような社会においては、自らのアイデンティティをゆるがし、生きているということの実感さえも感じることが難しくなってきます。ケアをとおして、成熟社会にふさわしい新しい信頼関係を作っていくことが、私たちの大きな課題だと言えます。
 折しも、少子高齢化がすすみ、ケアのニーズが急増しています。このような状況を受けて、医療や福祉も大きな改革が進められています。ここでは、介護や介助のニーズは克服するべき課題として語られ、いかに効率よくニーズを充足させていくかというケアマネジメントがさかんに議論されてきました。
 しかし、ケアとは本来、介護や介助といった具体的な行為のみをさすものではなく、気遣いや配慮も含めた相互的で人間的な営みです。ケアする人は介護や介助といった身体的なケアを提供することによって、感謝の気持ちや労いといった精神的なケアを受けることもあります。こうした相互的な営みによってお互いが成長していくのが、本来のケアの姿です。
 私たちは、ケアを介して自他が成長していくことをどのように支えることができるかを研究するために、「ケアする人のケア研究所」を設立します。「ケアする人のケア」とは、ケアをすることで疲弊し苦境の中にある人を引き上げていくことだけを意味するものではありません。ケアする人がセルフケアの力を高め、問題解決をはかりながら、自らの生命を輝かせることのできるコミュニティをつくること、そして、生命に対する深い眼差しと慈しみの心をもって他者の生に寄り添っていくことのできる文化をつくることをめざしていきたいと思います。

 

 

■事業の内容

1.調査研究
 ケアをめぐる課題やその解決について調査研究を、さまざまな分野の専門知とケアに関わる人の経験知の協働によって行います。

2.プログラムの開発
 セルフケアの知識や技術の向上、コミュニティケアの実践者の養成など、ケアの文化を高めるための学びのプログラムを開発し、各地に提供します。

3.情報交流
 「ケアする人のケア」の実践についてのアイデアを発表する研究集会や地方セミナーを開催するほか、インターネットを積極的に活用しながら情報交流をすすめます。

4.サポート
 ケアする人のための相談窓口や、情報交換のためのサロンなどを運営し、ケアする人をサポートします。

5.ネットワーク
 国内外で「ケアする人のケア」に取り組む個人や団体との交流をすすめ、ネットワークの拠点としての機能を果たします。

6.啓発と提言
 書籍の出版やITを使った情報発信などによって、研究の成果を広く共有するとともに、ケアの文化をつくっていくための啓発や提言を行っていきます。

 

 

■スタッフ

代 表  森口 弘美
研究員  森下 静香
     高橋 隼
顧 問  播磨 靖夫

 

事務局

 財団法人たんぽぽの家内

 〒630-8044 奈良市六条西3-25-4

Tel 0742-43-7055  Fax 0742-49-5501  E-mail carecare@popo.or.jp